すっかり気温も落ちて来た今日この頃。外が寒いと、道行くカップルが腕を組んだり手を繋いだりして温め合っているのをよく見ますね。
見る度に自分の心の中が氷点下に近づいていきますが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか?
「サムさん。サムさん。怖いです。目が笑ってないです」
いやぁ。駄目なんですよ。幸せそうな人たちをみると思わずフランケンシュタイナーをかけたくなっちゃって。
「かけないで下さい。お願いします。っていうか、他人の幸福くらい寛容に受け止めてくださいよ。器が小さい男性なんてモテるとかプロポーズ以前の問題ですから」
まぁ、そんなことはさておいて。この時期からだんだんとカップルたちのイチャイチャ度が上がっていくと思うんですよね。気のせいですかね?
「うーん。イチャイチャしてるかはわかりませんが、今月はカップルたちにとっての重要イベントがありますね。それにともなって、皆様の気分が盛り上がっているのかもしれません」
遂に来た! カップルたちの聖なる12月
「さてサムさん。12月といえば、とうとうあのイベントがありますね。もちろん何なのか分かりますよね?」
天皇誕生日です。
「日本人すぎる! 冗談はさておき、12月と言えばクリスマスでしょ?」
あ。すみません。うち仏教なんで。どちらかっていると花祭り祝うんで。
「知りませんよ! お願いですからちょっとはコッチのペースとか世間の流れに合わせてください! 花祭りプロポーズとかターゲット層がニッチ過ぎて流行りませんよ!」
いやー。お釈迦様も祝ってくれると思うんですけどねぇ。何はともあれ、今日はクリスマスプロポーズのための商品を紹介してくれるんですね。
「やっと商品紹介に行けましたね……。はい、その通りです。12月のクリスマスは、1年を通してもっともプロポーズする人が増えるシーズンと言っても過言ではありません。私どもも去年よりも1ヶ月早く、クリスマス商品のご注文受付を始めました」
え、もう始まってるんですか?
「はい。去年の反省を汲みまして。いやぁ。去年すごかったですよ? 日に日に増えて行く真っ赤な薔薇。そのうちアトリエスペースに収まらなくなって……、廊下や玄関にも薔薇の花が氾濫して……」
お、おう……。
「そのうち職場を出ても真っ赤な薔薇を視界の隅に見るようになって……夢の中でも赤いバラの梱包をし始めて…… というスタッフがちらほらいたのは本当の話です。」
なにそれコワい。
「そこで! 今年は早めにクリスマス商品の受付を始めることにしました。おかげですでにクリスマス商品への注目が集まっています。クリスマスプロポーズの準備は、もう始まっているんですよ」
「ところでサムさん。童話とかお詳しいですか?」
童話ですか? 好きですよ? 宮沢けん……
「…………」
し、白雪姫とか不思議の国のアリスとか好きだったなぁ~(遠くを見ながら)。
「そうですね。西洋の童話は愛を題材にしたものも多く、プロポーズ商品やブライダル商品のモチーフとしてもよく使われます。
我が社でもこのような商品を準備しました」
こ、これは! まさか! シンデレラのガラスの靴!
「その通り。プロポーズ相手をあっと言う間にお姫様にしてくれる、ガラスの靴です」
渡された相手は大人の階段を昇るわけですね!
サムコメント
「いや。プロポーズの時点ですでに大人なんですけどね。ところでサムさん。なぜ、「靴」を渡すことがプロポーズに繋がるかご存じですか?」
え、それはやっぱり、シンデレラの童話でもキーアイテムとして使われているからじゃないんですか?
「実は「靴」をあげるという行為は、イタリアなど海外ではメジャーなプロポーズ方法になっています。というのも、「靴」をあげることでプロポーズ相手を「幸せに導く」という意味が込められているんです」
おぉ。さすが、愛と情熱の国イタリアですね。プロポーズの仕方までお洒落とは。
「ちなみに本日もってきたこちらの商品は、昨年公開されたディズニーの実写版映画「シンデレラ」のドレスをモチーフにした特別版です。靴に添えられている蝶は、この特別版のみ始めからつけられています。映画の中で蝶々はドレスの美しさを引き立てる重要な役割を果たしているんです。映画を観たことがある人は、なぜ蝶がついているのか分かって、2度楽しめるわけです。6月から販売していたんですが、現在我が社でのプロポーズ売れ筋No.1商品になっています」
なるほど。この色のバージョンだけのお得なサービスなんですね。
それにしても……
箱まですごく凝ってますね!
「もちろんです。箱もプレゼントの一部ですからね。当然妥協なんかしません! こちらの箱にも映画のキーアイテムである蝶のデザインをあしらい、内部はシンデレラの魔法が解ける夜12時を意識したネイビーカラーになっています。シンデレラの世界観をとことん意識して、メインとなるガラスの靴を引き立てるようにしました」
「さぁ。次の商品に行っちゃいましょう」
いやぁ。もう良いですよ。さっきのガラスの靴で充分インパクトありましたもん。あれ以上のものはなかなか無いですって。
「それは……、これを見てからご判断ください」
こ、これも存在感あるなぁ。あ、でも。さすがにもう見た目や大きさくらいじゃびっくりしませんからね?
ほほう。これまた綺麗なフラワーアレンジメントですね。使われているガラスも、以前紹介したブランドの高級ガラスですか。たしかにこれもクリスマスプロポーズのプレゼントとして申し分ないですね。でもさすがにこれくらいじゃもう驚きは……
ん?
んん?
こいつ! 匂うぞ!
「あの。理科の実験じゃないんですから。試験管嗅ぐみたいに嗅がないでください。
なにはともあれ、その通り。このフラワーアレンジメントはアートフラワーの常識を覆した、匂いのあるフラワーアレンジメントなんです!」
まさか、視覚のほかに嗅覚にも訴えかけてくるとは……。あ、もしかして柔軟材使ってます?
「使っていません(笑) 匂いの正体はこちら!」
これ……、香水じゃないですか!
「ただの香水ではありません。伊勢丹やバーニーズニューヨークなど、少しセレブなセレクトショップでのみ置いてある、パリのブランドの香水です」
オマケってレベルじゃない!? ガチな香水じゃないですか!
「はい。ガチです(笑)。以前からお客様より「匂いもあれば良いのに」という声をいただいていたので、それを実現しました。こちらの商品は梱包する前に、花に香水を一吹き吹きかけております。一吹きでおよそ2週間持つことが分かっているので、箱を開けた瞬間から長く香りを楽しむことができます」
なるほど。香水として使って良し。香水を使わない女性なら、ルームフレグランスとして使えるわけですね。
「もちろん、プロポーズ商品であるという根本的なポイントも忘れていません。こちらのフラワーアレンジメントは白バラをモチーフに作っております。白バラの花言葉は純潔。結婚式にも用いられる花です」
たしかに。これならプロポーズに使われてもおかしくないですね。
「ちなみに……。こんなこともできます」
……なん、だと……?
「そう。こちらのフラワーアレンジメントでプロポーズする際は、白バラの中央に婚約指輪をのせてお渡しするのがおすすめです」
うわぁ。これ完全に女性を落としにかかってるじゃないですか。水谷さんたちめっちゃ本気じゃないですか。
「いいえ。女性を落としにかかっているのは購入者である男性の皆さま。この商品と私たちは、あくまでお手伝いですので」
ガラスの靴とフレグランスフラワーでプロポーズ!
「さぁ。サムさん。ここからがある意味本題ですよ。この二つを使って、どんなプロポーズをしますか?」
え!? 僕が考えるんですか!?
「これも練習です。さぁ。まずはガラスの靴」
え、えーと……。いや、まぁ。せっかくガラスの靴なんですから。王道に、某アミューズメントパークのお城の前で渡したら良いんじゃないんすかね?
「そうですね。実際、そのようにお城の前で渡してる人は多くいます」
マジですか!? ひざまずく系ですか!?
「ひざまずくかは分からないですけど……」
あ、でも。同じように考える人多いんですよね? ってことは、お城の前もアトラクションなみに並んでるんじゃないですかね?
たぶん係員がいて、五人くらい一斉にプロポーズしてるんですよ。一人くらいフられてたらおもしろいですよね!
「やめてくださいよ縁起でもない! まぁ、でもお城の前でプロポーズをする場合は確かに注意がいります。梱包がしっかりしてる分、どうしてもかさばってしまうんですよね。かといってロッカーはお城まで遠いので、取りに行くのに時間がかかってしまいます。実際にお城の前でプロポーズした人は、リュックに入れていて持ち運んでいました。サプライズを目指すなら、大きめの鞄が必要ですね。あとは、箱から靴だけを取り出して、こっそりかばんに忍ばせておくなどしてお渡し下さい」
なるほど。渡し方などで悩んだら、水谷さんたちに相談して考えるのがいいかもしれませんね。
「もちろん。スタッフ一同可能な限りフォローとアドバイスを行います。
さぁ。次はどのようにプロポーズしますか?」
次はフレグランスフラワーかぁ。あ、でも。どうせ匂いのするものを渡すなら、生花が良いなぁ。プロポーズに薔薇とか、男にとってもロマンなんですよ。
「たしかに王道ですね」
100本の真っ赤な薔薇の花束とか! 渡してみたいです!
「重いですよ」
……え?
「重い。生花ってけっこう重いんですよ。それこそ100本なんて。水を含ませている場合も多いので、ものによっては10キロ近い重さの花束になるんです」
じゅ、10キロ!? ちょっと育ちの良い子供くらいあるじゃないですか!
「準備している段階では男性も彼女を驚かせようとして楽しいと思いますし、渡した瞬間も喜ばしいんです。渡される側も、もらった瞬間はテンションあがりますよ。でも、後に冷静になると思うんです「うわぁ。重いなぁ。どうやって持ち帰ろうかな……」って」
……やっぱり生花よりもアートフラワーですね! 見た目も綺麗でかわいらしく、枯れずに長持ちするし、匂いもある! 香水としても価値がある! 時代はアートフラワーですよ!
「サムさん手のひら返しが早くないですか!? ですが、実際そういう面でも、アートフラワーの需要は年々伸びています。女性のなかにも、生花よりもアートフラワーが良いという人は増えているようです」
そういう意味でも、今年のクリスマスにプロポーズしたいという人にはぜひ本日の2商品をおすすめしたいですね。
水谷さん。本日もありがとうございました。
「ありがとうございました」
この記事の著者紹介
小野瀬サム
1988年生まれ。男性。ライター。
スリランカとのハーフ。英名サム。
明らかに日本人ではない顔で「国を伴侶と心得ておる」「色恋なんて浮いた話は、お袋の腹の中に置いてきた」と 言っていたところガチで引かれて、いまどうやって取り繕おうか考え中。外国籍の母の影響で家の中に花があるのは普通だと思っていた。